歯科矯正が一般的になってきている中で、裏側矯正やマウスピース矯正が注目されてきています。
裏側矯正、マウスピース矯正とは一体どのような歯科矯正なのでしょうか?
ここでは、裏側矯正、マウスピース矯正の概要とメリット・デメリットについてご説明していきます。
目次
裏側矯正とは?
裏側矯正とは、歯の裏側に矯正装置をつける歯科矯正のことを指します。
通常は表側から付ける矯正装置を、裏側につけることによって、歯科矯正を目立たずに行えます。
また、歯科医院によっては裏側矯正のことを「舌側矯正」や「見えない矯正」と表現しているところもあります。
違う歯科矯正にみえますが、「舌側矯正」や「見えない矯正」も裏側矯正と同様の歯科矯正です。
裏側矯正の治療費について
裏側矯正にかかる治療費の相場は、おおよそ100〜130万円。
歯並びの状況が軽度か重度なのかによって、費用に差が出ます。最低の治療費でも100万円近くはかかる見込みがあります。
どのくらい治療費がかかるのかの詳細は、裏側矯正を行っている歯科医院を受診し、見積もりを出してもらいましょう。
裏側矯正の治療期間について
裏側矯正の治療期間はおおよそ1年〜2年が一般的です。
裏側矯正は表側の矯正と比べると、歯が動くスピードが早いと言われているので、早い期間で歯科矯正ができます。
裏側矯正のメリット
メリット①目立たない
裏側矯正の1つめのメリットは「目立たない」ことです。裏側矯正は、歯の裏側に装置を付けるので、表面から見ると装置が見えません。
表側の矯正とは違い目立ちくいので、審美性は高いといえます。
メリット②虫歯になりにくい
裏側矯正の2つめのメリットは、「虫歯になりにくい」ことです。
表側の歯科矯正は、ワイヤーとブランケットの間に歯垢が溜まりやすく、虫歯になりやすいデメリットがあります。
そのため、細かいところまで歯磨きを行い、しっかりとセルフケアをする必要があります。
同じく、裏側矯正もしっかりとセルフケアをする必要がありますが、歯の裏側は虫歯になりにくい環境があります。虫歯になりにくい環境の理由は、唾液と歯の性質です。
歯の表とくらべて、歯の裏は常に唾液が付着し、湿っている状態です。
唾液には虫歯菌が出す酸から守る働きと、歯垢ができるのを抑える働きがあります。また、歯の表裏では、歯の性質が違います。歯の裏は表と比べてエナメル質が約3倍あり、虫歯菌から出る酸に強い性質があります。裏側矯正がなぜ虫歯になりにくいのかは、歯の表裏で唾液の分泌や性質が違うことに理由があるのです。
メリット③裏側矯正は後戻りのリスクを減らせる
出っ歯の人が、なぜ歯が前に出てしまうのか、その理由について考えたことはあるでしょうか。
一般的に「生まれつき歯並びが悪いからだ」と考えることが多いですが、実はそれだけではありません。
歯が前に出てしまう理由には、舌先の位置が関係しています。舌先を置く位置=タンスポットと呼ばれ、正しい位置は歯の根元から1cmほど後ろの場所にあります。この舌の位置と出っ歯が、どのように関係しているのかは、舌が押し出す圧力にあります。
タンスポットよりも舌が前に出ていると、歯を内側から押し出すような状態になります。歯は少しの力で動いてしまうので、この状態が積み重なると、歯が前方に動いてしまうのです。
タンスポットよりも舌先を前に置くクセがあったままでは、矯正装置を外した後に歯が動いてしまう可能性も高くなります。しかし、裏側矯正をしていると、歯の裏側に装置がついている状態になるので、必然的に舌の位置が後退します。矯正装置を外した後も、舌先を置く位置が正しくなり、後戻りしにくくなるのです。
裏側矯正にデメリットはないの?
とてもメリットがあるように見える裏側矯正ですが、何点かデメリットもあります。以下で具体的なデメリットをご紹介しましょう。
・食事がしにくい
・発音がしづらい
・食べ物が装置に挟まったら取れにくい
・舌が痛い
・歯磨きやりにくい
このように、裏側矯正に装置をつけることによって、主に口腔内のデメリットが生まれます。ですが、1〜2ヶ月もすれば、裏側の矯正装置に慣れてくるケースが大半です。時間が経てば、デメリットを感じにくくなるでしょう。
マウスピース矯正とは?
マウスピース矯正とは、透明なマウスピース型の矯正装置を使って歯を動かす歯科矯正のことを指します。
通常の歯科矯正は、ワイヤーやブランケットを使用していますが、マウスピース矯正は透明なマウスピースのみ使用します。透明度が高いマウスピースなので、一見すると歯科矯正していることは分かりません。
マウスピース矯正の治療費について
マウスピース矯正の治療費相場は、40万円〜100万円ほど。しかし、マウスピース矯正と言っても、さまざまな種類があります。
例えばインサビライン、DENマウスピース、ACEラインマウスピース、クリアライナーなど。
また、歯並びの状態によって費用に差が出ます。歯並びの状態が重度であれば、費用が高くなる傾向があり、軽度であれば格安で済むこともあります。
医師に相談し、見積もりを出してもらいましょう。
マウスピースの治療期間について
ワイヤーやブランケットを使用した歯科矯正と比べ、マウスピース矯正は歯を動かす力が弱くなります。なので、治療期間は2〜3年と長期間。軽度の症状であれば、1年ほどで歯科矯正が完了することもあります。
マウスピース矯正のメリット
メリット①透明なので目立ちにくい
マウスピースの1つめのメリットは、目立ちにくい点です。
通常の歯科矯正は、ワイヤーとブランケットが歯の表面に装着されたままになるので、他人から見ても歯科矯正をしていることが分かります。
一方で、マウスピース矯正は、装置が透明のマウスピースです。装着していている状態でも、他人から気がつかれることは少ないでしょう。仕事柄、目立つ歯科矯正はできない場合や、なるべく他人から気がつかれずに歯科矯正をしたい場合は、マウスピース矯正は適していると言えます。
メリット②歯磨きがしやすい
マウスピース矯正の2つめのメリットは、歯磨きのしやすさです。
ワイヤーとブランケットを使った通常の歯科矯正は、自分で取り外すことができません。そのため、矯正装置に食べ物が挟まりやすく、歯垢も溜まりやすくなります。しっかり歯磨きをしてセルフケアをしなければ、虫歯になることもあるのです。
しかし、マウスピース矯正は、飲食をする際に取り外すことができます。
自分で取り外しができれば、歯磨きも不自由なく行えるので、口腔内を清潔に保てられます。
メリット③食事の時に取り外しができる
歯科矯正で一番煩わしさが出る場面は、食事の時間です。
通常の歯科矯正は、歯の表面にワイヤーとブランケットが装着されたまま、食事をしなければなりません。ワイヤーとブランケットの間に食べ物がつまりやすく、人前で食事をしづらくなります。
その反面、マウスピース矯正は、食事をする時に取り外しができます。場合によって取り外しができるマウスピース矯正は、歯科矯正のストレスを軽減してくれるでしょう。
マウスピース矯正にデメリットはないの?
ストレスがなく快適に歯科矯正ができるマウスピース矯正ですが、何点かデメリットもあります。
以下で詳しいデメリットをご紹介しましょう。
・1日20時間装着する必要がある
・歯を大きく動かすのには不向き
・治療期間が長くなる
・自己管理をする必要がある
マウスピース矯正は、マウスピースの種類によって装着の時間や、どのような歯並びに適しているのかが変化します。しかし、マウスピースを長時間着用しなければならないのは。どの種類も共通しています。
また、取り外しができるというメリットは、時にデメリットになることも。しっかりと着用の自己管理をしなければ、いくらでもサボることができるのです。
これらの点に注意すれば、メリットの大きい歯科矯正になるでしょう。
今からでも間に合う!目立たない歯科矯正にチャレンジしよう
裏側矯正とマウスピース矯正についてご説明してきました。
裏側矯正、マウスピース矯正は両者ともに目立たない歯科矯正です。しかし、治療費、治療期間、メリット・デメリットについては差があります。
どちらが自分に適しているかは、歯科矯正を行っている歯科医院を受診し、医師と相談しながら決めていきましょう。