はじめに
唾液と虫歯とは深い関係があるということをみなさんご存じでしょうか?
その理由は唾液にはお口の中の環境をよくするためのさまざまな効果があるからで、虫歯防止効果や虫歯を修復する効果まであるそうです。
質の高い唾液を多く分泌することで虫歯を防止でき、それができないと虫歯になるリスクが高まります。
ここでは唾液の役割や唾液を増やし虫歯を防ぐ習慣などをお教えします。
唾液の役割
- お口を潤し滑らかにする
お口には柔らかい粘膜と硬い歯がありますが、会話したり食べたりしても傷が付かないのは唾液がお口を潤しているからです。 - 消化を促進する
唾液にはアミラーゼという消化酵素があり、これによって糖分を分解して消化吸収しやすいようにします。 - 体を防御する
体の外に開いているところ、たとえば目や口、鼻など・・は外部から侵入する細菌などを防御するための生体防御機能が作用しています。
唾液の中のリゾチームという成分はその役割があると言われています。
これは抗菌作用がある酵素の一種で、唾液以外にも汗や涙、鼻の粘膜、リンパ腺、肝臓や腸管などにもあり、さまざまな細菌から感染するのを防いでくれ、生きていくために必要不可欠なものです。さらに、唾液の中のムチンという成分は菌を凝集して固めお口から排出する効果があります。 - 嚥下を助ける
お口に入った食べ物と唾液とが混ざり合うことで食塊となり飲み込むのを助けます。 - 味覚
われわれは酸味、塩味、甘味、苦味、うま味・・など、5つの味覚を感じとるため、日ごろの食事が楽しめるのです。
これは食べものの中の味物質が唾液に溶け込んで味蕾と言われる受容器に届くことで味を感じとるためです。
でも、唾液がなければ潤滑作用もなくなるため舌がこすれてしまい味蕾がなくなったり、舌に炎症が起き味蕾が作用しなくなったりすることがあります。
また、味物質がちゃんと味蕾まで届かなくなるため、唾液がないと本来の味そのものを感じられなくなる・・という味覚障害になることもあります。 - お口の中を清潔にする
また、唾液はお口の中を洗浄する作用があります。
なので、唾液の分泌が減るとお口の中が不衛生になり虫歯になったり、口臭が起きやすくなります。 - pHを一定に保つ
唾液の中のイオンの働きにより、お口のpHを中性に保とうという働きがあります。
特に、食事の後はどうしてもお口の中が酸性になりがちですが、この状態が長時間続くと歯が溶けてしまい虫歯になります。ですが、唾液の作用によりお口の中を酸性から中性にすることにより、歯が溶け虫歯になるのを防止できます。つまり、お口の中を中性にする力の弱い唾液の人ほど虫歯になりやすい・・ということになりますね。 - 歯を再石灰化する
虫歯菌が産出した酸により歯のミネラル分やカルシウム分が溶け出しますが、唾液にはこれらを補い修復する作用があります。
この作用のことを再石灰化作用と言い、この作用がない方は虫歯になりやすいということになります。
唾液の分泌を増やす習慣とは
では、唾液を増やす習慣や方法などをご紹介しましょう。
どれも簡単にできるものばかりなので今すぐにでも始めてみましょう。
よく噛んで食べる
よく噛んで食べることで唾液が大量に分泌されます。
日ごろあまり噛まずに食べる方は意識してたくさん噛んで食べるようにしましょう。
一口30回程度噛むのが目安としてはおススメです。
よく噛むことで唾液が大量に分泌されると虫歯予防になるだけでなく、ダイエット効果もあるそうですよ。
食事の際に気軽にできることなので、ぜひ今日からでも試してみて下さいね。
すっぱいものを摂る
すっぱいものを食べると唾液の分泌が促進されます。
すっぱいものを摂るとお口の中の唾液腺が刺激されるため大量に唾液が出てきます。
もし、すっぱいものがない、苦手・・という方は想像して食べるだけでも効果があるそうです。
想像するだけでいいので、どこでもできる簡単な方法ですね。
こまめに水分を取る
唾液の主成分は水なので、体内に水分が不足すると唾液も不足します。
唾液を増やすには水をたくさん飲むことがおススメです。
さらに、唾液を増やす他、口の中が潤う効果もあります。
また、水を食事の際に摂ると食べもののかすがお口の中に残らず、洗い流せるため一石二鳥ですよね。
唾液の分泌量を増やすためにも、お口の中を潤すためにも水をたくさん飲むようにしましょう。
ただ、ジュースやコーヒーなどではなくお水にしておくことが大切です。
唾液腺をマッサージする
唾液腺をマッサージすることで唾液を大量に出すことができるそうです。
方法はとても簡単で、舌の付け根の真下のところを押したり、えらの部分から3センチほど内側を押すだけでできます。
これならテレビを見ながらでもできるので簡単ですよね?
玉ねぎを食べる
意外かもしれませんが、ある研究結果によると玉ねぎに含まれるケルセチンという成分によって唾液の量が増えるということが分かっています。
このケルセチンは唾液の分泌を促進する他にも、炎症反応を抑制してくれる優れた成分です。
ストレスを解消する
ストレスが強くかかると唾液の量はどんどん減っていくと言われています。
緊張するとのどが渇くのと同じですね。
できる限りストレスのない生活を送るようにし、もしストレスがかかったな・・と思ったらうまく解消するようにしましょう。
ガムを噛む
さらに、ガムを噛むことで唾液の分泌を促進させましょう。
唾液にはお口の中を潤したり、再石灰化する作用、細菌や食べもののカスを洗い流す作用や抗菌作用などがあるため、虫歯予防のためにガムを噛むのは効果的です。
ただし、ほとんどのガムには糖分が含まれているので、キシリトール入りのガムがおススメ。
ただ、キシリトール入りのガムであっても他のお口のケアを併用すべきものなので、ガムを噛んだだけで虫歯が予防できるわけではありません。
まとめ
このように、唾液と虫歯には深い関係があるということをお分かりいただけましたか?
今後この関係をうまく利用することで虫歯予防に努めましょう。
ですが、もし虫歯ができてしまったら早期治療が重要なので、すぐにクリニックへ行っていただき適切な治療を受けるようにしてくださいね!